畳にはダニがわく? 研究で分かったこと・分からないこと|畳床の材質による違いを解説

「畳にはダニがわくから、フローリングにした方がいい」
そんな話を聞いたことはありませんか?
確かに畳は、ダニが生息する場所の一つです。
しかし、畳にはさまざまな種類があり、内部に使われている材料や構造も異なります。
実は、畳に使われる材料によって、ダニの増殖のしやすさに違いがあることを示した研究もあります。
今回は、1987年に発表された研究をもとに、畳とダニの関係、畳床の材質による違い、日頃のお手入れについて解説します。
- 畳からダニが自然に発生するわけではありません
まず知っておきたいのは、ダニが畳そのものから自然に生まれるわけではないということです。
室内に生息するダニが増えるには、主に次のような条件が関係しています。
高温多湿の環境
フケやカビなどの餌
繊維や隙間などの隠れ場所
これらの条件がそろうと、ダニが繁殖しやすい環境になります。
また、ダニが生息するのは畳だけではありません。
布団やカーペット、布製の家具なども生息場所になります。
つまり、ダニの問題を考えるときには、床材だけでなく、室内全体の環境を考える必要があります。

- 畳の中身「畳床」には種類があります
畳は、表面の「畳表」、中身の「畳床」、縁の「畳縁」などから構成されています。
このうち、畳の厚みやクッション性を支えているのが畳床です。
代表的な畳床には、次のような種類があります。
稲わら畳床
稲わらを何層にも重ね、圧縮して作られた昔ながらの畳床です。
適度な弾力や重量感があり、伝統的な畳の構造として長く使われてきました。
一方、天然素材である稲わらにはダニが潜り込める隙間があり、湿気が多い環境では注意が必要です。
稲わらサンドイッチ畳床
稲わらの間に、ポリスチレンフォームなどの芯材を挟んだ畳床です。
稲わらと発泡素材を組み合わせた構造になっています。
建材畳床
木質繊維板(インシュレーションボード)やポリスチレンフォームなどを使った畳床です。
現在の住宅でも広く使用されています。
建材畳床にも複数の構造があり、使用する材料や層の組み合わせによって特徴が異なります。
見た目は同じ畳でも、中身は必ずしも同じではないのです。
- 1987年、畳の材料とダニの増殖を比較した研究
1987年に発表された「ケナガコナダニの数種建材での増殖,分布に関する実験的検討」という研究があります。
この研究では、稲わら、い草、インシュレーションボードなど、畳に関係する材料を用いて、ケナガコナダニの増殖が比較されました。

材料を粉砕して実験したところ、増殖指数には次のような違いが見られました。
実験材料
増殖指数
稲わら+い草
175.4
い草
106.4
稲わら
100.0
インシュレーションボード+い草
55.4
インシュレーションボード
25.3
※稲わら単体の増殖指数を100とした相対値です。
この結果では、インシュレーションボード単体の増殖指数は、稲わら単体のおよそ4分の1でした。
また、い草を混ぜた材料では、単体の材料とは異なる結果が示されています。
このことから、材料の違いや組み合わせによって、ケナガコナダニの増殖のしやすさが異なる可能性が示されました。
ただし、ここで大切な注意点があります。
この研究は、粉砕した材料を使った実験であり、完成した畳を実際の住宅に敷いて比較したものではありません。
そのため、「建材畳床なら家庭のダニが4分の1になる」と解釈することはできません。
また、研究対象のケナガコナダニと、室内アレルギーの原因として重要なヒョウヒダニ類は異なる種類です。
この点にも注意が必要です。
- 建材畳床ならダニは発生しない?
では、稲わらを使わない建材畳床なら、ダニの心配はなくなるのでしょうか?
残念ながら、そうとは言い切れません。
同じ研究では、硬質インシュレーションボードの表面にダニを置いた実験で、4週間後に内部へ入り込んだダニが確認されています。
つまり、建材であっても、ダニの侵入や生息を完全に防げるとは限らないのです。
材料によってダニの増殖のしやすさが異なることと、ダニがまったく発生しないことは別の問題です。
- 研究で分かったこと、まだ分からないこと
今回の研究から、畳に使われる材料によってケナガコナダニの増殖に違いがあることが分かります。
また、建材の内部にもダニが侵入する場合があることが示されています。
一方、まだ十分に判断できないこともあります。
例えば、稲わら畳床、稲わらサンドイッチ畳床、建材畳床を完成した畳の状態で比較した場合、実際の住宅でどの程度の差が生じるのか。
住宅の湿度や換気、掃除の頻度によって、その差がどの程度変わるのか。
さらに、アレルギーの原因となるヒョウヒダニ類でも、同じ傾向が見られるのか。
今回の研究だけで、これらすべてを判断することはできません。
研究結果は重要な参考になりますが、実際の住まいへの当てはめには慎重さが必要です。

- 今日からできる畳のダニ対策
畳の種類にかかわらず、日頃のお手入れは大切です。
① 湿気をためない
室内の湿度を確認し、換気や除湿機などを活用しましょう。
特に梅雨時期や夏場は、湿気がこもらないよう注意が必要です。
② 畳の目に沿って掃除機をかける
畳の目に沿って、ゆっくり丁寧に掃除機をかけましょう。
ダニの餌となるホコリや汚れを減らすことが大切です。
③ 布団を敷きっぱなしにしない
布団を長時間敷いたままにすると、畳との間に湿気がこもることがあります。
使用後は布団を上げ、寝具も適切に乾燥・清掃しましょう。
④ 畳の上にカーペットを重ねない
畳の上にカーペットやラグを重ねると、湿気やホコリがたまりやすくなる場合があります。
できるだけ畳のまま使用することをおすすめします。
⑤ 古い畳は畳床の状態も確認する
畳表がきれいでも、中の畳床が傷んでいる場合があります。
畳を張り替える際には、畳床の材質や傷み、湿気の状態なども確認するとよいでしょう。
- 畳を選ぶときは、表面だけでなく中身にも注目を
畳の張替えというと、表面の色や畳表の種類、畳縁の柄などに目が向きがちです。
もちろん、見た目も大切です。
しかし、畳の中身である畳床も、畳の特徴を左右する重要な部分です。
畳床の種類によって、重量、クッション性、施工方法などにも違いがあります。
ダニの問題についても、材料による違いを示した研究があります。
だからこそ、畳を選ぶ際には、見た目だけでなく中身にも目を向けていただきたいと思います。
まとめ|畳とダニの関係を正しく知ろう
畳はダニが生息する場所の一つですが、畳から自然にダニが発生するわけではありません。
また、畳床の材料によって、ダニの増殖のしやすさに違いがあることを示した研究もあります。
ただし、建材畳床だからダニが発生しないというわけではなく、実際の住宅でのリスクは、湿度や掃除、使い方などにも左右されます。
大切なのは、畳の特徴を正しく理解し、適切にお手入れすることです。
金沢屋 大宮三橋・見沼インター店では、現在の畳の状態を確認し、畳表の張替えや畳の新調についてご相談を承っています。
「うちの畳はどんな畳床を使っているの?」
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そんな疑問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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次回予告|新しいい草には、ダニを寄せ付けにくい力がある?
2026年に発表された研究では、い草の畳表がダニの侵入を抑える可能性について、興味深い結果が報告されています。
次回は、い草の品種による違いや、新しい畳表と経年変化した畳表の違いなどを、研究結果をもとに紹介します。
参考文献
岩崎素子ほか(1987)
「ケナガコナダニの数種建材での増殖,分布に関する実験的検討」
『衛生動物』38巻3号、203–209頁
https://doi.org/10.7601/mez.38.203
※本記事は研究資料をもとにした一般的な情報提供を目的としています。特定の畳床の防ダニ性能や、アレルギー症状の改善を保証するものではありません。
